普通の学生生活を送る真悟は退屈ながらも平和な日常を過ごしていた。
変わり者の少女マヤとの会話は真悟に不思議な安らぎを与えていた。
そして学園内でも人気の龍美と付き合い始め、幸せな日常を過ごす
真悟だったが……
ある事件をきっかけに失われる平穏な日常。大きな力を得る変わりに
失う代償。真悟は否応無く巻き込まれていく。
血が意思を持ち、主人の意志によって強力な力を発現する持物(じもつ)と
呼ばれる力。時に紐となって主人を守り、矢となって敵対するものを討つ。
人はそれを吸血鬼と呼ぶ。
というわけで記念すべきコミティアの第一回目の作品です。
この第一回目は実は大失敗しており、本は未完成となってました。
表紙に出てる赤い紐とかがこれから出るであろう、という場面で終わってた
ので中途半端もいい所でした。これは絵を描いてくれた雨がえる君に申し訳
なかったと反省しきりでありました。
最初に書くなら何がいいか?と考えて吸血鬼ものとかどうだろう?とまずは 考えました。吸血鬼って大体西洋だよな、キリスト教で。だったらそれを東洋版 にして仏教のイメージ取り入れたら面白くなるんじゃないか?というアイディア のもと設定を作ったりしていきました。血が意思を持ち道具となるというので 性格付けなんかもできるかなと。持物(じもつ)は仏教の用語です。 紐のケンサクや弓矢も持物としてあるのでそれを利用させてもらいました。
マヤという名前はマヤ文明ではなくて、モデルにした摩利支天の陽炎をマーヤー という、と思ってたのでそうしました。でもよくよく調べてみたら陽炎をマーヤー というかどうかはわからず。まぁでもマヤという名前は好きだったのでマヤで 良かったと思います。持物のケンサク等は摩利支天を参考にしてます。 お釈迦さんのお母さんがちょうどマーヤーという名前でこれと勘違いしたかも?
龍美のモデルはとくには無く。お人形さんのような可愛い娘が狂気的な愛情 持ってるとキャラがたっていいかなぁと。人間的感情の激しいキャラにしたかった かもしれず。仏教ベースで慈悲というテーマを考えていたので、そうなるとちょっと ワガママなキャラなどもいないと駄目かなと。業、カルマとかもちょっと考えたり。 龍美という名前はある漫画のキャラから拝借しました。ドラゴンビューティー。
真悟は、まことにさとる、という名前で仏教チックでいいんじゃないかと。 あんまり深く考えてなかったかもしれず。マヤが女性的な力で真悟は男性的力。 マンダラなどで金剛界マンダラは男性的な力を、胎蔵界マンダラは女性的な力を。 ということで2人でひとつ的な考え。いわゆるパートナーとして生や死を考える役 となっていると思います。タイトルのRED STAKE、赤い杭は男性的力の 象徴と考えてました。 杭に関しては吸血鬼ものではお馴染みなんでそのまま採用 しています。
吸血鬼ものにもかかわらず、吸血シーンはなかったりします。血の扱いがちょっと 独特になってしまったので、一話にまとめて入れるのも難しくなってしまったかなと。 逆に血を与えることによって吸血鬼になる、というのがRED STAKEでの設定 です。血を死ぬほど吸い取ることによって持物を増やすことができる、という設定 も考えていました。命を奪うことによって持物を増やせると。しかし持物が増えても 意志が弱かったり使い方が悪かったりすれば役には立たない、というのも考えてました。
まぁなんにしても、あまりにも多くの要素を入れようとしてたので、完成しなかった のもしょうがないかな、と思います。ようするに欲張りすぎと。 調べながら考えながらで時間配分などもよくわからずやってたので大変でした。
しかし色々な人に色々と聞きながらやっていけたのは私にとって大きな収穫となった かもしれず。当たり前なんですが人によって考え方は色々だなと。
というわけで調べながら考えながらで時間が無くなってきた時、もっとも簡単に話を作る には?と考えた時、やはり敵対するものがいれば話は作りやすくなるんじゃないか? と思いました。それに従って書いていたのですが、書いていくうちに、これは違う、と思い どうにも書けなくなってしまいました。敵が出てきて戦っていく、というのももちろん有り だと思います。しかし、これのテーマが仏教や慈悲、としたかったので、どちらかと言うと 精神的な葛藤などを書きたかったからだと思います。第一回目の当時は時間なさすぎて なんだか違うなぁとしか考えられなかったのですが、後になってそういうのがわかったのかも しれません。
なんにしても作品を作るというのはいかに大変か、というのはよくわかりました。 第一回の結果は失敗だったですが、この経験はとても大きかったと思います。
この第一回に失敗したRED STAKEですが、第六回に新たに書き直し完成させました。 またこの世界観を使って話が書けたらいいかな、と思っています。