ドスピラス王の娘、6の空。ドスピラスの戦士長、黒の蝶とは恋仲であった。
しかし運命は二人を過酷な状況へと追い込んでいく。
様々な国々で思惑が交差するなか、6の空はナランホ国へと嫁ぎ女王となる。
ナランホを治め、つかの間の平和を享受する6の空だったが、大国カラクムル
の包囲網が近づきつつあった。
王とは?戦士とは?様々な立場の者が悩み、苦しみ、決断する。
親と子。男と女。戦う者と守られる者。
これはマヤを舞台に繰り広げられる人間ドラマである。
*絵を描いてくれた未羅さんのHPはリンクコーナーにあります。
昔からマヤ文明は好きだったので、何かしらマヤを舞台にした物語を ひとつ書いてみたいな、と思っていました。マヤの歴代王をまとめた本の 中で、変わった女王がいるのをその時知りました。それが6の空と呼ばれる 女王でした。この6の空という名前は実は仮名で、本来なんと呼ばれていたか は謎となっているようです。石碑などに残ってるテキストを今現在も解明 してる最中だと思います。
まず本を読んでいて意外に思ったのは、マヤ地域の王国と呼ばれるものは 多数あり、親族や同盟関係などで複雑な国家となっていた、ということです。 日本で言う戦国時代に近い状態だと思います。マヤ文明というとイケニエとか 残酷な人達、というイメージがあります。確かにそういう一面はあるけれども それだけではない、というように思いました。それこそたくさんの人間的な ドラマもあったんだろうなと。マヤ文明を題材にした話はあまりないと思う のでどんな風に書こうかと悩みましたが、天文学で何かが色々あってイケニエ でドロドロな世界、みたいなのは止めとこう。彼らもたぶん普通の人間であり 悩んだり喜んだりしてただろうな、そういう人間的な部分を書けたらいいな、 と思ってました。
王国がたくさんあったなら、様々な駆け引きとかあって、6の空も女王と なったんだろうなと。実はこの6の空の名前がよくわかってないように この前後の時代に何があったか?というのを残してある石碑がないらしく。 正確にはあったけど、戦争で勝利した国が壊してしまったようです。つまり、 この時代何があったかよくわかってない。ただ戦勝国の石碑などを見て 何があったかを推察はできるようで、そういうのを考えながら自分で 「こんな具合じゃなかったのかな」と考えてストーリーとしました。 歴史的にぴったりじゃない部分もありますが、キャラやその他ストーリー的 な脚色であります。と言ってもツッコミを入れられる人はほとんど いないかもしれない。マニアックな人物だし、よほど好きな人じゃないと わからないかも。人気があるのかないのかよくわからないのがマヤ文明 ですね。
お話的には上下2段の16ページで収めるにはちょっとボリュームが 出てしまう量となりそうだったので、かなりはしょってしまっています。 ストーリー的な流れは最後までうまくいけたんじゃないかな、とは 思いますが、キャラ的な深みがでなかったのは反省点ですね。 ただ、この話をひな形にして、また新たに話が書けたらいいかなと 思っています。
もともとマヤ文明には興味あったのですが、何しろそれが好き、 という人はあまりいません。そんな中、絵を描いてもらっている未羅さん は昔からの同好の士で色々な展覧会を見たりしてました。というわけで 絵を頼むなら未羅さんしかいないだろうということでお願いしました。 イメージ的に共有してるものが多かったかもしれず、その辺ではとても 楽であったりしました。全部まかせちゃっても大丈夫と思うくらい。 結果イメージしたもの以上に良い表紙、イラストになったと思って います。ありがたやー。
マヤ文明を題材にした話を書く上でもう一つ苦労したのが名前でした。 何しろ日本語とはかけ離れた語感なのでとっつきにくい。その時6の空 のような仮名があるのを見て、全部仮名にしちゃえばいいんじゃね? と思いつき、そうすることにしました。名前がわかってるやつは 名前のまんまでも良かったかも、と最近は思うようになったり。 戦士などは石碑には書いてないので名前あるかどうかもわからなかったり します。ほんとはあるのかもしれませんが。
なにしろその道の学問を修めてるもの、でもなく趣味で好きで調べてる だけだったので、まだまだよくわからないこと、勘違いしてることも 多数あるんじゃないかなと思います。調べるほどに面白いのがマヤ文明。 また色々と読んだり見たりしながら、話が書けたらなと思います。