Fairy & Fairy taleシリーズ。
農夫のアルスは力は強いが、気が弱く馬鹿にされていた。
そんな農夫アルスが悪いドラゴンにさらわれた姫を救い出す
べく奮闘する。仲間の裏切りに遭うも、ペリドットの精ペリに
よって魔法の助けを受けてドラゴンに立ち向かう。
悪いドラゴンを倒し、姫を救うという民話の王道タイプ
のストーリー。
農夫と白銀の剣はドイツの民話をベースにした話です。
当初はペリドットの精のペリを前面に出した話を予定したり
してたのですが、民話の話のストーリーは結構しっかりしてる
ので、どこで妖精をからませるかが難しく、話の中心は農夫
で、スタンダートなドラゴン退治の話にすることにしました。
よって妖精ペリは脇役です。しかも名前も出してないうえに
Fairy & Fairy taleを読んでいないと
どんな妖精かもわからない始末。道中に出てくるおばあさんが
妖精の女王だったりします。話の流れ的にはこういうキャラ
設定は関係ないかもしれない。
農夫アルスは力持ちですが、妖精国に取替え子として妖精の
女王が養い親になった、という設定で考えてました。なので
色々と助力が得られると。妖精とかかわりを持ったものは
特殊な力を得ると言われ、そういう人は不気味がられたり
するとかしないとか。養い親という制度はイギリス辺りで
普通にあった制度のようです。
今回の話を書く前に「マビノギオン」という物語集を読み
ました。アーサー王伝説の元になった話しがあったりで
今日の民話の元となってると思われる話も多数あったり
します。この話の要素も取り入れたりしました。
リアンノンの小鳥達は「生者を眠らせ死者を起こす」
ウェールズ語だとアルスル(皇帝とかの意味らしい)
でアーサー王伝説の元となったと考えられてます。
アルスルからアルスという名前にしました。
ケルト神話で有名なダグザの大釜のもとになった大釜
の話、死者を放り込むと復活するけど口を聞けない。
また食料をなんでも出せる(豊穣の象徴)
この釜をイメージした粉屋の袋(食料を出す)
細かい物の描写も特徴でしょうか。どれだけ美しいものか
というのを表現するために特徴を列挙したり。これは吟遊詩人
たちによる口語の場合盛り上がるためだと思います。
農夫という設定は、もともとドラゴンは自然の力の象徴で
あり、ドラゴンは山そのものとも考えられるから。農夫は
開墾することでその土地の力を手に入れるという暗喩に
なってます。日本神話などでもありますが、王となるものは
大地の力や空の力、または水の力を手に入れるために様々な
試練を乗り越えたり、力を譲ってもらったりします。
アルスは農夫王として領民を治めた、という設定を考えて
たりしました。
アルスが洞窟を抜け出すシーンは死と復活のイメージ。
神話などではよく死んで復活の場面があります。
季節や作物(実がなったり枯れたり)の暗喩となってます
以上色々仕込んだりはしましたが、話の中心というか屋台骨
は単純なドラゴン退治で姫助けてめでたしめでたしな話です。
ドラゴンの首が2つ首から始まり、ひとつ首がいませんが、
粉屋がひとつ首を倒した者、という設定でした。なので色々
詳しい話ができると。
話的には非常に単純ですが、色々裏設定があるのでその辺も
楽しんでもらえればと思います。
スキを剣にのイメージはマジック・ザ・ギャザリングという
カードゲームにあった「剣を鍬(スキ)に」というカードから。
カードゲームでは剣からスキでしたが、逆にしたら面白いんじゃ
ないかと。そこから農夫のイメージにもなったのでした。