村の小高い丘にある木は僕の秘密の場所。ある日そこに
妖精達がやってきて不思議な宝石を拾う。
古くからあるイギリスの妖精の性格を随所に
入れた、妖精マニア受けするよう書けた作品
書けた作品だと思います。不思議な力を持つ
琥珀の精アンと子供の物語です。
さて最初に書かなければならないのはこの製作話を書くのは書いてから
だいぶ時間が経ってしまったものなので、当時のことを思い出しながら
書いているものだったりします。すぐに書けばよかったのだけど後で
いいやと後回しにしてしまいました。
フェアリー&フェアリーテイルシリーズの話ですが、妖精と児童文学と言うのは
古くから親しまれているジャンルかと思います。イギリスでの話には数多くの
妖精が活躍しています。不思議の国のアリスなどではハンプティ・ダンプティや
チェシャ猫など妖精的なキャラも数多く登場します。これらは童謡マザーグースの
中で古くから親しまれているものです。マザーグースはアメリカに渡った後の
名前で現地だとナーサリーライムの方が通りがいいようです。
童話的なものを書こうと思った時、私に足りないのはたぶん母性的なものが
ないからではないかと思ってました。なのでこれを書くテーマとして母性を
意識してみました。普段から子供に接している人なら何も考えずとも出てくる
ものがあるとは思うのですが、私の場合はあまりそういう機会がないので苦労
しました。「相手を思いやる心」「間違っていたら諭し導く」これらは基本的
な考えで情操教育としての話になりますが、イギリス初期の子供向けの話は
道徳的なものが多く、話の面白さはあまりなかったそうです。
お話としては面白くしたかったので童話としてのテイストを残しつつ物語的な
盛り上がりも欲しいなとは思っていました。妖精と木というのは不可侵な結びつき
を持つもので、そこに集う妖精達の美しい場面を入れたいと思い最後の場面と
なっています。もともと琥珀の精として設定していたアンなので木と結びつける
のは丁度良かったりもしました。琥珀は樹液が化石化した宝石です。
母性的な表現としてはハグをするなど色々あると思います。子を思う親の心
というのが母性的なものなのかなと考えたりしました。母性は別に男親が
持っててもおかしくはないものだと思いますし。基本的な愛情表現というのは
今も昔もそれほど変わらないものではないかと思います。
妖精まにあ受けするような、と上のあらすじでも書いてありますが、家の手伝いを
する良い妖精へのお礼はミルク一杯というのが定番だったようです。妖精達は
ミルクそのものを飲んでいくのではなく、そこに詰まる精、エキスみたいなものを
吸い取っていくとか。吸い取られたものは形なく崩れたり消え去ったりする
らしいです。妖精の禁忌、タブーとしてはお礼を言ったり、服を与えてはいけない
というのがあり、それらを受けた妖精はもう必要ないと思われてると思い
いなくなってしまうそうです。
今読み返してみると、やっぱり話を詰めすぎて窮屈というか話が急すぎた部分が
あるかなーと。こういう話はやはりゆったり進めるくらいでないとなーと反省。
書いたことないものだとどういう組み立てがいいのかわからないのでしょうがない
のかもしれませんが。
妖精文学と言うとやはりイギリスの方が本場ですので、それらのことはもうちょっと
調べたりしたいものです。国際子ども図書館で講演などを聞いてきたりもしましたが
その先生は今書かれてるものよりも、昔の、それも明治、大正、昭和初期の辺りのものが
面白いとおっしゃってました。その辺の何が面白いのか?がわかれば面白い話を書ける
ようになるかもしれません。
妖精シリーズではペリドットのペリ、アンバーのアンとあとはアメジストのメア
なんでなんとか書いてみたいなーとは思っています。ぶどう色している為かお酒
と関連のある宝石のアメジストでどう話を作るかはまだまだ考え中です。
ペリに関しても農夫と白銀の剣ではあまりにも出番なかったのでなんか違う話も
こしらえたい所ではあります。
琥珀の中に入ってるものをインクルージョンと言うそうで、虫が入ってたりすると
そのまま化石化して宝石になり珍重されるそうです。この話の中では花にしてみています。
花が化石化するかどうかはわからないのですが、宝石の中に花が咲くというのはなんとも
妖精的ではないかなと思います。