昭和モダンシリーズの短編集です。
・赤色哀歌
・藍色の談笑
・青の階段(書き下ろし)
・緑の海
青の階段は関東大震災の時の浅草にあった凌雲閣での話。
各話の合間に不思議な姉さんの紹介話があります。
飾緒語りは昭和モダンシリーズの短編集です。三編は以前書いたもの
なので書き下ろしの青の階段と合間に入れたお姉さんの話を。
青の階段は元々赤色哀歌のあとに書こうと思っていたものです。先に書いた
のは藍色の談笑でしたが、藍色の談笑の話は青の階段を書こうと思って
調べていた資料を読んでいて書きたくなったものでした。元々は関東大震災
で崩壊した凌雲閣を題材に書こうと思っていました。
崩壊した凌雲閣ですが、大震災で全部が崩れたわけではなく。後で砲兵に
よって爆破されたそうです。その少しの間残っていた崩れた凌雲閣を舞台
に書けたらいいなと思って書いたのが青の階段でした。
ちょうどこの時に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災、東北関東大震災)
が起きたりしました。名称は東北関東大震災と言うのもあるんですね。
青の階段をさぁ書こうか、と思った時に起きた地震でした。この話は関東大震災
を扱ったものなので書くのを当時ためらったりもしてました。しかしそれでも書いて
完成させておきたいと思い書いてました。恐ろしい大震災がまさかわが身にかかる
とは思ってもいませんでした。震災当時には連日地震速報が入り、大地震の後は
余震が続くというのも身をもって体験したので、それも書き入れたりしました。
後で調べてみると関東大震災の時も余震がなんどかあったようです。
しかし関東大震災に匹敵するような被害があったのは痛ましいものがありました。
関東大震災は火事による被害が大きかったですが、海沿いの津波は恐ろしいもの
がありました。加えて原子力発電の損壊など現代に起こりえる最悪の事態だった
のではないでしょうか。
青の階段は震災によって失われた喪失感と、そこに起こる静かな奇跡の話に
なってます。奇跡でもなんでもないのかもしれませんが大きな災害のあとは
物を見る目も感じ方も変わるくらいの大きな出来事になるのではないかと思います。
物語としては凌雲閣、十二階と呼ばれる塔のみの限定した空間での話となっています。
少ない場面でどう書いていくのか?というのを考えてました。青の階段は以前に書こう
としてたと書きましたが、出だしは少し書いてあったりしました。今回そこは変えず
に書き出したりしてました。私の場合時間が空いてしまうと、最初から全部書き直す
ことが多いのでちょっとしたチャレンジにもなってました。
書き始めの当時も資料は読んでたはずなのですが、なぜか凌雲閣の階段が木製になってたり。
ギシギシ鳴る方が舞台設定的にいいんじゃないかと思ったのだろうか。石造りの塔なので
階段も石だと思われます。
藍色の談笑は青の階段の前の話として書いてました。赤と青の間だから藍色でいいだろう
と思ったので藍色の談笑というタイトルになってます。本当は紫かもしれないけど。
合間にはさまれてる各話の紹介話は謎のお姉さんと酔っ払いの掛け合いとなってます。
オチも含めて5ページほどの短編となってますが、本来このお姉さんの話をもう一編
加えたものを想定してました。タイトルも考えてあって「黄金の穂波」という話に
しようと思っていました。赤青緑ときたら黄色だろうなと。
元々昭和モダンの時代というのは悲しい話が多いので、少し明るめの話も入れておきたい
なと思ってました。お姉さんの話はその名残とも言えるものとなってます。
また書く機会があったら「黄金の穂波」の方もカタチにして置きたいなと思います。
飾緒というのは飾りに付いてる房をなんと呼ぶのかわからないので適当に作った私の造語
だったりします。ちゃんとした名前もあるのかもしれませんがこれはこれで良かったんでは
ないかと。ともあれ少しずつ書いた話がまとめられた本を作ることができたのは嬉しい限り
でした。
短編集という形にするのは初めてだったのでその辺で苦労しました。コピー誌で80ページ
だとホチキスではさめるのかと心配しましたが、それようの道具揃えてなんとかできました。
まだまだ知らない事、題材にしてないものがあるのでそれらをカタチに出来たらな、と思います。