殺風景な部屋の真ん中には台があり、まわりをスタッフが囲んでいる。
「あ、所長」
スタッフの一人がこちらに気付いて振り向く。
「これがそうなの?」
台の上にはその例の生き物らしきものが横たわっていた。全身を黒の毛で覆われており、
四肢は太い。見た目はジャガーの子供のようだ。
明らかに違う点と言えば、額に妙な文様のようなものがあるくらいだ。
触れてみると確かに暖かい。かなりゆっくりだが鼓動している。
「本当、生きてるみたいね。なんなのかしら、これ」
「我々もテス、あ、これに付けた名称なんですが、皆目検討がつきません」
「早いとこ調べたいわね」
「ええ、ただ今日は日が悪いので本格的な調査は明日以降になりますね」
神官達が今日の仕事は一切しないことと言ってきた。太陽の陰りが大きく、なにかの不吉
の前触れらしい。前日から出発していた発掘隊の発見の報告がなければ私達も家でおとな
しくしていただろう。
くいくいっと娘が裾を引っ張る。
「なぁに、見たいの?」
うなずく娘を腕に抱えて持ち上げてあげる。
「・・・てす」
「そうよ、ママはこれからテスを調べないといけないの。ククルは良い子にしててね」
スタッフが荷物を運びこんでくる。ククルを腕に抱えたまま指示を出していく。
「・・・」
ククルが身を乗り出して手を伸ばす。バランスを崩したのに気付くのが遅れた。
テスの前足あたりに顔から突っ込む。顔と片手の二点で体重を支える形になった。
「うぇーん」
慌てて引き起こしてあげてから、泣きやます為にあやしてあげる。
「大丈夫、ククル?あぁ、ハイハイハイ・・・」
背中をぽんぽんと叩きながら研究所入り口の椅子に座らせる。
「ママもう少しお仕事あるから、ここでおとなしく待っててね、ね?」
まだ落着かない娘は泣きながら頭を上下に振った。